宮内庁式部職楽部の演奏者を中心に小金井薪能のために編成される。
豊剛秋 増山誠一 久恒壮太郎 植原宏樹 小山貴紀

平調音取(ひょうじょうのねとり)
平調という調子(E)を基調とした演奏。音取とは楽器の主管による前奏的な調律。
越殿楽(えてんらく)・残楽(越天楽)
前漢の皇帝・文帝の作と伝えられる管弦のみの曲でもっとも有名な曲である。
残楽とは総演奏の後に変奏によるリフレインがある。中に黒田節の旋律がある。
鶏徳けいとく)(慶徳)
平調の曲、漢の時代に南方の鶏頭国を討った喜びをあらわしたといわれる小曲。

太郎冠者:山本則俊
次郎冠者:遠藤博義
主人:山本則秀

太郎、次郎は狐塚の稲田を荒らす鳥を追い払うが、そこに現れた主人を狐が化けたものと思い煙でいぶし出す。中世の俗謡である小唄を歌い趣を増す。山本家の親子兄弟のアンサンブルは優れて絶妙である。

シテ:津村禮次郎 
ワキ:安田登  
笛:松田弘之 小鼓:幸正昭 
大鼓:安福光雄 太鼓:小寺真佐人 
地謡:中所宜夫ほか 雅楽演奏参加

三保の松原の羽衣伝説に基づく能である。地上に降りた天女はふとしたことで松の木にかけた羽衣を漁師に奪われてしまう。その羽衣を返すか返さないかの問答の末天上の舞を見せる約束で羽衣を返してもらう。天女は美しい舞を舞いつつ、富士の高嶺の彼方、春霞にまぎれて消えてゆく。
曲中に「東遊びの駿河舞」と謡われる「東遊」も「駿河舞」も日本で作られた雅楽の舞物「舞楽」で、今回はその演奏などを能の中に取り込み、雅楽と能の初コラボレーションとなる。また富士山の自然と文化一体の世界遺産認定をバックアップする能である。