鹿狩りの平家の公達一行は戸隠山の山中で紅葉狩りに来たこの世のものとは思えないほどの美女軍団とであい、酒を飲んで酔いつぶれてします。夢の中で山の神が現れると、なんとこの女たちはこの山に棲む鬼であるという。山の神に授けられた太刀でようやく鬼を退治する。妖艶な鬼の能である。

都に上がる二人の大名。なんと太刀を持たせる供がいない。
通りがかりの男に何とか太刀を持たせようとするが…

唐の五代皇帝の玄宗(げんそう)には楊貴妃というたぐまれな美人の后がいた。楊家に生まれ名前を玉環といい、一度は息子の后でもあった。
皇帝は貴妃の魅力に溺れ国政を疎かにし、国を傾けることになるが、安禄山の反乱によりついに貴妃を惨殺せざるをえなくなる。
死後も正気に戻ることはなくひたすら楊貴妃の魂を尋ねることになる。
物語は唐代の詩人「白楽天・白居易(はくらくてん・はっきょい)」の長編の詩「長恨歌(ちょうこんか)」に基づく古典能「楊貴妃」の世界を、現代の音楽と身体表現によって薪能バージョンとして新たに生まれ変わる。
天界の蓬莱国に在る楊貴妃の霊魂を尋ねた方士は、七夕の夜に契った二人の愛の確証を得る。「天に在らば比翼(ひよく)の鳥とならん、地に在らば連理(れんり)の枝とならん」という秘め事は死後もなお変わらない「愛の絆」である。ダンス作品は古典能と現代ダンスの異なる表現により、死と生の世界、それにも拘わらず変わらぬ絆が、現代社会においても生と死が常に隣り合わせであることを意識させる。
芸能を楽しむ中で、古代と現代、伝統と革新、生と死の連環を薪能の場で表現しようとする。[演出・振付]森山開次

映画上映「踊る旅人 能楽師・津村禮次郎の肖像」
2016年8月7日(日)10:30/15:00(各回上映30分前会場)
小金井宮地楽器ホール大ホール/津村禮次郎×三宅流アフタートーク付き
料金(税込・全席自由)前売500円/当日700円
詳しくはhttp://koganei-civic-center.jp