高砂は兵庫県瀬戸内海に面した白砂青松の浦。一本の老松を掃き清める老人夫婦。ばあさんはこの高砂の者、じいさんは海を隔てた住吉の者で久しく通いあっているという。
実は老人は住吉の神。姥を万葉集に老人を古今集にたとえ、夫婦の睦ましさ、文学の栄え、平和を讃えて神は様々な舞楽を見せ「千秋楽」と舞納める。
結婚を祝福する謡(能の歌)としてよく知られているが、その真意は人の心を和し、この地上の安穏を祈念する能である。

田舎者が、地蔵堂へ六地蔵を安置しようと都へ仏師を探しに行く。そこへ現れたすっぱは、自分こそがその仏師であると偽り、翌日までに六地蔵をつくってやろうと約束する。
田舎者とわかれたすっぱは、仲間を呼び出し、地蔵に化けて田舎者を騙すことにする。
翌日、田舎者が地蔵を受け取りに行くと、地蔵は三体しか見当たらない。もう三体は、別の場所にあるとすっぱは言うのだが、どうやら様子がおかしい。さてその結末は。。。
朴訥とした田舎者をだまそうと、都人すっぱが舞台・橋懸りを駆け回る明るく賑やかで、いききとした中世の息吹が感じられる狂言ですある。

和歌山県熊野三社は奥深い大自然の熊野川に添ってある。そこへ至る道は熊野古道、神や仏に至る信仰の道である。大自然の存在「熊野にます神」は日本国造りに関わり、時代の変遷に伴い様々な神や仏となって現象し、救いを願い集う人々を、貴賎、男女、分け隔てることなく受け入れた。そんな熊野信仰の在り様を、音楽、パフーマンスの異種アーティストがコラボレートし表現する小金井薪能オリジナルの音楽舞踊作品である。